大判例

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松江地方裁判所 昭和29年(ヨ)24号 決定

申請人 小松原正市

被申請人 赤松豊次郎

二、理  由

第一、申請の要旨

一、趣旨

被申請人の島根県安来市赤江町島根県土木出張所飯梨川駐在区内所在建設機械(ブルトーザーD50型九頓)一台に対する占有を解いて申請人の委任する執行吏にその保管を命ずる。

二、理由

昭和二十九年六月二十五日島根県庁において島根県がその所有の申請の趣旨記載の物件について行つた競争入札に当り、申請人、被申請人及び上野益一郎等十二名が参集して右入札をしたが、その際右参集者全員は、そのうち誰が落札しても各自費用を使つて集つていることであるから希望者があれば更に入札し、最高価額で入札した者を最終の権利取得者とし、その価額と落札価額との差額を入札者相互間に分配する旨の約束をした。そして入札の結果被申請人が金二十五万五千円で落札したが希望者があつたので、右約束に従い更に希望者相互間において入札した結果、申請人が金三十七万五千円で最高価額であつた。そこで右約束に基き申請人が本件機械の所有権を取得したので被申請人にその引渡を求めたがこれに応じない。よつて申請人は被申請人を相手取つて右機械引渡請求の訴を提起すべく準備中であるが、被申請人は右機械を他に売却しようと奔走中であり、売却してしまつては本案訴訟において勝訴の判決を受けてもその執行が著しく困難となるか、又は執行することができなくなる場合を生ずる虞れがあるから本件申請に及んだのである。

第二、当裁判所の判断

公の入札に当り、その終了後更に希望者相互間において入札をなし、最高価額者を最終の権利者と定め、その価額と落札価額との差額を相互間に分配することを目的とする約束は結局自由競争を阻み、公正なる価格を害することになるから、入札者全員間になされたかかる約束は公序良俗に反し無効のものといわなければならない。

従つて本件申請は失当であるからこれを却下し、申請費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り決定する。

(裁判官 青山惟通)

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